「無料でiPhoneからVPN接続をしたい!」
「VPN Gateの使い方が分からない!設定はどうやったらよいの?」
「VPN Gateで注意しなければいけないことを教えて!」
インターネットの利用が日常的になる中で、プライバシー保護やセキュリティ強化、地域制限のあるコンテンツへのアクセスなどの目的でVPN(Virtual Private Network)の利用が注目されています。
この記事では、日本の国立大学である筑波大学が学術実験プロジェクトとして提供している無料VPNサービス「VPN Gate」について、その概要から具体的な使い方、そして利用する上で知っておくべき危険性や注意点まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
- VPN Gateは筑波大学提供の無料VPN(ボランティア運営)
- VPN Gate利用の主な用途
- iPhone、iPad、Mac、Windows PCといったデバイス別にVPN Gateへ接続する具体的な手順
- VPN Gate利用の判断基準
自宅でVPNネットワークの構築手順

VPN Gateとは|筑波大学提供の無料VPN

VPN Gateは、筑波大学大学院が学術研究目的で開始した、完全に無料の公開VPN中継サービスプロジェクトです。
営利目的ではなく、あくまで学術実験として位置づけられています。
このプロジェクトは2013年3月8日に始まり、「全世界的な分散型公開VPN中継サーバー」に関する知識を広めることを主な研究目標とし、大学自体はVPNサーバーを運営しておらず、ウェブサイトのホスティングが主な役割です。
VPN Gateの主な目的と仕組み
VPN Gateの主な目的は、政府によるインターネット検閲ファイアウォールを回避して、ブロックされたウェブサイト(例えばYouTubeやTwitterなど)へのアクセスを研究することです。
もう一つの重要な目的は、ユーザーのIPアドレスを隠すことです。 VPN Gateサーバーを経由してインターネットに接続すると、ユーザーの元のIPアドレスは接続先のボランティアサーバーのIPアドレスに置き換えられます。 これにより、オンライン上での追跡を困難にし、プライバシーを保護するのに役立ちます。
ボランティアによって支えられるVPNネットワーク
VPN Gateの最大の特徴は、VPNサーバーが筑波大学ではなく、世界中のボランティアによって提供・管理されている点です。 誰でも自分のコンピュータをVPNサーバーとして提供し、この実験に参加できます。
利用できるサーバーのリストは常に変動し、サーバーは日々追加・削除されます。 サーバーのIPアドレスも固定されていないため、特定の静的なIPアドレス範囲は存在しません。
このボランティアベースの運用モデルが、VPN Gateが無料で提供される理由の一つです。
- 利用制限なく無料で利用ができる
- ユーザー登録が不要
- 運営元が明示されている(日本の国立筑波大学)
- 日本語で利用できる
- 専用アプリが必要なくiPhone、iPad、AndroidスマホやWindowsPC、Macの基本設定から利用できる
デバイス別VPN Gateの接続手順

「VPN Gate」は、Windows、Mac、iPhone、iPad、Androidスマホなどのデバイスから接続できます。
この記事ではiPhone、Mac、WindowsPCそれぞれの接続手順を解説します。
接続先サーバ情報の取得

VPNサーバ一覧のページ から、利用したいVPN中継サーバを選びます。
「DDNS名 (.opengw.net で終わる英数字) 」または「IPアドレス」をメモしてください。
モバイルユーザには、iPhoenやAndroidスマホからOpenVPNのサーバー一覧を確認できる、専用アプリがおすすめです。
VPN Gateは、L2TP/IPsecとOpen VPNの2種類の転送プロトコル利用サーバーを提供しています。
一般的にはOpen VPNがより安全性が高いとされていますが、通常のVPN利用としてはどちらを利用しても実害はありません。
オススメは設定が容易なL2TP/IPsecです。Open VPNを利用するためには専用のアプリを導入が必要となります。
iPhone・iPadでVPN Gateの接続手順
OpenVPNの接続方法
- 「App Store」から「OpenVPN Connect」をダウンロードしてインストールします。
- VPNサーバ一覧のページ からOpenVPN 接続設定ファイル (.ovpn ファイル) をダウンロードして「OpenVPN Connect」へ.ovpnファイルをインストールします。
L2TP/IPsecの接続方法


一般→VPNに進み、構成を追加を行います。次の通り、インプットしてください。
タイプ | L2TP |
説明 | なんでもok |
サーバ | 「DDNS 名」 (.opengw.net で終わる英数字) または「IP アドレス」(※) |
アカウント | vpn |
パスワード | vpn |
シークレット | vpn |
(※)サーバの入力は、DDNS名を入力することをおすすめします。VPNサーバのIPアドレスが変更された場合でもDDNS名は変更されずに使用できます。
Mac・MacBookのOpenVPN接続手順
macOSでOpen VPNを接続する方法は、以下の記事を参照してください。
WindowsPCのOpenVPN接続手順
WindowsOSでOpen VPNを接続する方法は、以下の記事を参照してください。
VPN Gateの危険性と注意点

VPN Gateは誰でも無料で通信の暗号化ができる反面、いくつか利用時の注意点があります。
ノーログ運用されていない
VPNサーバーにVPN通信の内訳(VPNログ)が残ります。
VPNログの内訳
アクセスしたWebページ(接続サーバー) |
通信した時間帯、通信量、プロトコル情報 |
VPN Gateでは各サーバで通信ログを最低2週間保管されます。VPNログから違法性のある通信が行われたか解析される可能性があるので、違法動画のダウンロードを目的としてVPN Gateを利用することは控えてください。
VPN接続時の通信が不安定
VPN Gateは慢性的にサーバーの容量がトラフィックに対して小さいため、通信が不安定になりがち。通信速度も遅くなる傾向です。
VPN Gateで接続できない場合や、速度が遅い場合は、下の記事で紹介するトラブルシューティングを試してください。
悪意のあるサーバーの可能性
VPN Gateのサーバーは、善意のボランティアによって提供されていることが前提ですが、中には悪意を持った人物がサーバーを設置している可能性もゼロではありません。
悪意のあるサーバー運営者は、そのサーバーを経由する通信を傍受して個人情報を盗んだり、ユーザーを不正なウェブサイトに誘導したり、マルウェアを仕込んだりする可能性があります。
VPN Gateプロジェクト側も不正利用防止ポリシーを設けていますが、分散型のボランティアネットワークであるため、全てのサーバーの安全性を完全に保証することは困難です。 筑波大学は、個々のボランティアサーバーに対する責任を明示的に否定しています。
機密性の高い情報(パスワード、クレジットカード情報など)を送受信する際には、VPN Gateの利用は特に慎重になるべきです。 HTTPSで暗号化されたサイトを利用するなど、VPN以外のセキュリティ対策も併用することが重要です。
まとめ

この記事では、筑波大学提供の無料VPNサービス「VPN Gate」について、その仕組み、使い方、そして利用上の危険性や注意点を解説しました。
VPN Gateは、学術研究目的で運営されるユニークなプロジェクトであり、無料で利用できる点が大きな魅力です。 特に、政府の検閲を回避したり、IPアドレスを隠してプライバシーをある程度保護したりする目的には有用な場合があります。
しかし、ボランティア運営に起因する通信の不安定さ、ログが記録される点、悪意のあるサーバーが存在する可能性など、無視できないリスクも存在します。
VPN Gateを利用する際は、以下の点を考慮することが重要です。
- ログが記録されることを理解し、高度な匿名性は期待しない。
- 通信速度や安定性は保証されないため、用途によっては不向きな場合がある。
- 悪意のあるサーバーのリスクを認識し、機密情報の送受信には特に注意する。
- あくまで学術実験であり、商用サービスと同等の品質やサポートは期待しない。
VPN Gateが適しているケース
- 一時的に検閲されたサイトにアクセスしたい場合
- IPアドレスを隠して、一般的なウェブサイトを閲覧したい場合
- 無料であることに大きなメリットを感じる場合
VPN Gateを避けるべきケース
- ログが残ることに懸念がある、高度な匿名性が必要な場合
- 常に安定した高速通信が必要な場合
- オンラインバンキングや機密情報の送受信など、高いセキュリティが求められる場合
- 信頼性の高いサポートが必要な場合
このような場合は、信頼できる有料のVPNサービスを検討することをお勧めします。 VPN Gateは便利なツールですが、その特性とリスクを十分に理解した上で、自己責任で利用するようにしましょう。
