インドネシアへの旅行や出張、あるいは駐在中、インターネットの利用で不便を感じたことはありませんか。実は、インドネシアは政府によるインターネット検閲が比較的厳しい国の一つです。
日本で当たり前に使えていたウェブサイトやサービスが、突然ブロックされて見られないという事態に直面することがあります。これは、インドネシア政府が定める規制(MR5など)に基づき、多くのグローバルサービスが検閲の対象となっているためです。
この記事では、なぜインドネシアでVPN(仮想プライベートネットワーク)が「お守り」ではなく「必需品」なのか、その具体的な理由と、現地でも快適に使える最速のおすすめVPNサービスを徹底的に解説します。
安全で自由なインターネット接続を確保するために、ぜひ参考にしてください。
「VPNって何?」という方は以下の記事を参照してください。図解を使って初心者にもわかりやすく解説しています。
インドネシア滞在にVPNが必要な理由

インドネシアで快適なインターネット環境を維持するために、VPNは今や必須のツールです。私が考える主な理由は、政府による広範な「検閲」、個人の「プライバシー監視」、そして「公衆Wi-Fiの危険性」の3点に集約されます。
深刻化するインターネット検閲
インドネシアでは、通信情報省(Kominfo)がITE法やMR5といった規制に基づき、強力なインターネット検閲を実施しています。これは単に不適切なコンテンツを対象とするだけではありません。
ビジネスや情報収集に不可欠なグローバルサービスさえも、政府の規制を理由に突然ブロックされる事態が発生しています。
ブロック対象となる主要サービス例
過去にブロック対象となった、または現在もアクセスが制限されているサービスには以下のようなものがあります。
| サービス名 | カテゴリ | ブロック理由 |
| PayPal / Yahoo | 決済・ポータル | MR5未登録 |
|---|---|---|
| DuckDuckGo | 検索エンジン | 検閲要求への不履行 |
| コミュニティ/SNS | ヌードコンテンツ、MR5未登録 | |
| Vimeo | 動画プラットフォーム | ヌードコンテンツ |
| Vanguard.com | 金融サービス | 不明 |
| Internet Archive | 情報アーカイブ | ポルノ・ギャンブルコンテンツ |
プライバシー監視と法的リスク
インドネシア政府は、ISP(プロバイダ)を通じてインターネットのトラフィックを監視する権限を持っています。特にITE法は「名誉毀損」や「憎悪扇動」の定義が曖昧であり、意図せず法律に抵触するリスクをはらんでいます。
政府は、プラットフォーム事業者に対し、要請があればユーザーデータの提出を命じることができます。VPNは通信を強力に暗号化し、ユーザーのIPアドレスを隠蔽します。これにより、ISPや政府による通信内容の監視を困難にし、プライバシーを保護します。
VPNの合法性と「ノーログ」の重要性
現時点で、インドネシアにおいてVPNの使用自体を禁止する法律はありません。法的なリスクは、VPNを使って何にアクセスしたか、という点にあります。
だからこそ、私がVPNを選ぶ上で絶対に譲れないのが「厳格なノーログポリシー」です。これは、ユーザーの活動記録を一切保持しないという方針を指します。万が一、政府からデータ提出を求められても、VPNサーバーに記録がなければ提出しようがありません。
一方で、無料VPNの多くは、ユーザーの接続ログや閲覧履歴を記録し、第三者に販売することで収益を得ています。プライバシーを守るためにVPNを使った結果、逆に情報を抜き取られては本末転倒です。安全を確保するため、信頼できる有料VPNの利用を強く推奨します。
危険な公衆Wi-Fiの脅威
バリのカフェ、ジャカルタの空港やホテルで提供される公衆Wi-Fiは非常に便利です。しかし、これらの多くはセキュリティが脆弱で、ハッカーによるデータ傍受(中間者攻撃など)の格好の標的となります。
VPNは、通信をAES-256といった軍事レベルの暗号化で保護します。これにより、たとえセキュリティの甘いWi-Fiに接続していても、通信が「暗号化されたトンネル」を通るため、クレジットカード情報やパスワードが盗み見られるのを防ぎます。
インドネシア滞在におすすめのVPNサービス

インドネシアでVPNを選ぶ際、私が最も重視するポイントは3つあります。それは「検閲を回避する力」「速度」「信頼性」です。
- 難読化(ステルス)機能
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インドネシア政府は、DPI(ディープ・パケット・インスペクション)という高度な技術でVPN接続自体を検出し、ブロックする能力を持っています。これに対抗するのが「難読化(ステルス)機能」です。
この機能は、VPN通信を通常のHTTPS通信(銀行やショッピングサイトで使われる通信)のように偽装し、検閲システムに見つかりにくくします。インドネシアで安定した接続を求めるなら、この機能は必須です。
- 通信速度とサーバー品質
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インドネシアのインターネット速度は、日本と比べると速くありません。そのため、VPNによる速度低下(オーバーヘッド)は致命的です。
選ぶべきは、WireGuard、Lightway、NordLynxといった軽量で高速な独自プロトコルを採用しているサービスです。物理的な距離が近いシンガポールや日本のサーバーに、高速な10Gbpsサーバーを多数設置しているVPNが最速の体験を提供します。
- ノーログポリシーと信頼性
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前述の通り、法的リスクを回避するために「厳格なノーログポリシー」は絶対条件です。運営会社がどこに拠点を置いているか、第三者機関による監査を受けているかも信頼性の証となります。
これらの基準を満たす、おすすめのVPNサービスを紹介します。
ExpressVPN
NordVPN
CyberGhost
Surfshark
Private Internet Access (PIA)
セカイVPN
スイカVPN
まとめ

インドネシア滞在において、VPNはもはや「あれば便利」なツールではなく、安全で自由なインターネットアクセスを確保するための「必需品」です。
政府による検閲は厳しく、PayPalやReddit、DuckDuckGoといった日常的なサービスまでもがブロック対象となっています。加えて、公衆Wi-Fiのセキュリティリスクや、ITE法に基づく監視の脅威も存在します。
これらの問題を解決する鍵が、信頼できる有料VPNです。私が推奨するのは、ExpressVPN、NordVPN、Surfsharkのように、「厳格なノーログポリシー」と「難読化(ステルス)機能」を備えたサービスです。無料VPNは、ログ収集のリスクが高いため絶対に避けるべきです。
インドネシア現地に到着してからでは、検閲によってVPNサービスのサイト自体にアクセスできないおそれがあります。必ず、日本にいるうちに契約とインストールを済ませておくことを強くおすすめします。







