ある日突然、自分のPCに見覚えのない『ExpressVPN』というソフトが入っていて、「これってウイルス?」「何だか危険そう…」と不安に感じていませんか。私が以前、友人のPCをチェックした際にも同じような状況に出くわしたことがあります。結論から言うと、ExpressVPN自体は非常に信頼性の高い、安全なVPNサービスです。
しかし、意図せずインストールされている状況は気持ちの良いものではありません。この記事では、なぜExpressVPNが勝手にPCに入ってしまうのか、その正体と、もし不要な場合の安全な対処法を徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたの不安は完全に解消されているはずです。
ExpressVPNが「勝手に」インストールされる正体

PCに見慣れないソフトが入っていると、誰でも不安になります。しかし、その正体を知れば、過度に怖がる必要はありません。ここでは、ExpressVPNがなぜあなたのPCに存在するのか、そしてその安全性について詳しく解説します。
なぜExpressVPNがPCに入っているのか?主な原因を解説
ExpressVPNが「勝手に」インストールされたように見える原因は、主に以下の2つです。
- 他のソフトウェアとのバンドルインストール最も多いのがこのケースです。特に海外製のフリーソフトなどをインストールする際に、インストーラーの途中で「おすすめのソフトウェア」としてExpressVPNのインストールが推奨されることがあります。利用規約などをよく読まずに「次へ」を押し続けると、意図せず一緒にインストールされてしまうのです。これはExpressVPNに限らず、多くのソフトウェアで採用されている手法です。
- 過去に体験版をインストールして忘れている以前、VPNが必要になって試しにExpressVPNの体験版をインストールし、その後すっかり忘れてしまっているケースです。自分ではアンインストールしたつもりでも、一部のファイルが残っていることもあります。
どちらのケースも、マルウェアのように勝手に侵入してくるわけではなく、何らかの形でユーザーがインストールを許可した結果です。
ExpressVPNは危険なソフトなのか?安全性を徹底検証
結論として、**ExpressVPNは危険なソフトウェアではありません。**むしろ、世界中のセキュリティ専門家から高い評価を得ている、非常に安全で信頼性の高いVPNサービスです。
VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット上の通信を暗号化し、第三者によるデータの盗み見や改ざんを防ぐための技術です。ExpressVPNの主な特徴は以下の通りです。
特徴 | 内容 |
強力な暗号化 | 政府や軍事機関レベルで採用されるAES-256という暗号化技術で通信を保護します。 |
ノーログポリシー | ユーザーの閲覧履歴やIPアドレスなどの活動ログを一切記録・保存しないことを約束しています。 |
世界的なサーバー網 | 世界中に多数のサーバーを設置しており、高速で安定した接続を提供します。 |
プライバシー保護 | あなたの本当のIPアドレスを隠し、オンライン上での匿名性を高めます。 |
つまり、ExpressVPNはプライバシーとセキュリティを守るための正当なツールです。「勝手に入っている」という状況が不安を招くだけで、ソフトそのものに危険性や違法性は一切ありません。
「勝手に」動くExpressVPN|現象別の原因と解決策

ExpressVPNがインストールされているだけでなく、「勝手に起動する」「勝手に接続が切れる」といった意図しない動作に戸惑うこともあります。これらの現象も、実はExpressVPNがユーザーを保護するために設計した機能が原因であることがほとんどです。ここでは現象別に、その原因と具体的な解決策を解説します。
現象1|PC起動時にExpressVPNが自動で起動・接続する
PCを起動するたびにExpressVPNが立ち上がり、自動でVPNに接続されるのは、セキュリティを最優先する設計思想の現れです。これは「常時接続」という考え方で、PCが起動した瞬間から全ての通信を暗号化し、ユーザーを保護するための機能です。
しかし、VPNを使いたい時だけ手動で接続したいユーザーにとっては、この自動機能は煩わしく感じるでしょう。この設定は簡単に変更できます。
Windowsでの設定変更手順
- ExpressVPNアプリを起動します。
- 左上のメニューアイコン(三本線)をクリックし、「オプション」を選択します。
- 「一般」タブにある以下の2つのチェックを外します。
- Windows起動時にExpressVPNを起動する|PC起動時にアプリが自動で立ち上がらなくなります。
- アプリ起動時に最後に使用したロケーションに接続|アプリを起動しても、自動でVPN接続が始まるのを防ぎます。
macOSでの設定変更手順
- ExpressVPNアプリを起動します。
- メニューバーのメニューアイコン(三本線)から「環境設定」を選びます。
- 「一般」タブにある「Macの起動時にExpressVPNを起動する」のチェックを外します。これで自動起動と自動接続の両方が無効になります。
現象2|覚えのない請求|サブスクリプションの自動更新を止める方法
「ExpressVPNから勝手に請求が来た」という場合、その原因はサブスクリプション(定額契約)の自動更新設定が有効になっているためです。多くのデジタルサービスと同様、ExpressVPNも解約手続きをしない限り、契約が自動で更新される仕組みです。
自動更新を停止する手続きは、どこで契約したかによって異なります。これが少し厄介な点です。
支払い方法 | 自動更新の停止手順 |
クレジットカード / PayPal | ExpressVPN公式サイトの「マイアカウント」から手続きします。 |
Apple App Store (iPhone/iPad) | iPhone/iPadの「設定」→ Apple ID →「サブスクリプション」から手続きします。 |
Google Play ストア (Android) | Playストアアプリ → プロフィール →「お支払いと定期購入」から手続きします。 |
重要なのは、ExpressVPNのアプリを削除しただけでは解約にならないということです。必ず上記の方法で「自動更新の停止」手続きを行う必要があります。もし契約から30日以内であれば、返金保証を申請することもできますが、自動更新を停止した上で、別途カスタマーサポートへの連絡が必要です。
現象3|VPN接続が頻繁に切れる問題の対処法
VPNを使用中に接続がプツプツと切れてしまうのも、ストレスが溜まる問題です。これは単一の原因ではなく、ネットワーク環境や設定など、複数の要因が考えられます。以下の手順で順番に確認していくのが解決への近道です。
- ステップ1|VPNサーバーを変更する最も多い原因は、接続している特定のサーバーの一時的な不調や混雑です。ExpressVPNアプリで「ロケーション選択」画面を開き、現在地とは別の国や、「おすすめ」として表示されているサーバーに接続し直してみてください。これだけで問題が解決することは非常に多いです。
- ステップ2|VPNプロトコルを変更するプロトコルとは通信ルールのことで、ネットワーク環境との相性があります。アプリの「オプション(環境設定)」から「プロトコル」タブを開き、設定を変更してみましょう。「自動」でダメな場合は、「Lightway – UDP」や「OpenVPN – TCP」などを試すと接続が安定することがあります。
- ステップ3|セキュリティソフトの設定を見直すウイルス対策ソフトやファイアウォールが、VPNの暗号化通信を「不審な通信」と誤認してブロックしていることがあります。一時的にセキュリティソフトを無効にして接続が安定するかを確認し、もしそれが原因であれば、セキュリティソフトの「例外設定(許可リスト)」にExpressVPNを追加してください。
現象4|VPNが切れるとネットが使えなくなる謎の正体
「VPNが切れた途端に、インターネット全体が使えなくなった」という現象は、一見するとExpressVPNがPCを壊したかのように感じられ、非常に驚きます。しかし、これも「Network Lock」(ネットワークロック)という、あなたを保護するための重要なセキュリティ機能が正常に作動した結果です。
この機能は一般的に「キルスイッチ」と呼ばれ、VPN接続が予期せず切断された瞬間に、PCからの全てのインターネット通信を即座に遮断します。なぜなら、もしVPNが切れた状態で通信を続けると、あなたの本物のIPアドレスや暗号化されていないデータが外部に漏洩してしまう危険があるからです。キルスイッチは、その一瞬のデータ漏洩すらも防ぐための最終防衛ラインなのです。
つまり、「ネットが遮断される」のは故障ではなく、「接続が不安定で切れてしまう」という根本原因に対する保護機能が働いている証拠です。この機能を無効にすることも設定からできますが、セキュリティが低下するため推奨されません。解決策は、現象3で解説した「接続が頻繁に切れる問題」自体を解決することです。
不要なExpressVPNを安全にアンインストールする方法

ExpressVPNの正体と機能が分かった上で、やはり自分には不要だと判断した場合、PCから安全にアンインストールしましょう。手順は非常に簡単です。
Windowsでのアンインストール手順
- 「スタート」メニューを開き、「設定」(歯車アイコン)をクリックします。
- 「アプリ」を選択し、「アプリと機能」の一覧を表示します。
- 一覧の中から「ExpressVPN」を見つけ、クリックして「アンインストール」を選択します。
- 画面の指示に従い、アンインストールを完了させます。
または、コントロールパネルから「プログラムのアンインストール」を選択し、同様の手順で削除することもできます。
macOSでのアンインストール手順
- 「Finder」を開き、「アプリケーション」フォルダに移動します。
- 「ExpressVPN.app」を見つけます。
- それをドラッグして「ゴミ箱」に入れます。
- Dockの「ゴミ箱」を右クリック(またはControlキーを押しながらクリック)し、「ゴミ箱を空にする」を選択して完了です。
これらの手順で、ExpressVPNをPCから完全に削除できます。
まとめ

今回は、PCに勝手にインストールされたように見えるExpressVPNの正体と、それに伴う様々な現象への対処法について解説しました。
重要なポイントを振り返ります。
- ExpressVPNは危険なソフトではなく、セキュリティとプライバシーを守る信頼性の高いツールです。
- 「勝手に」インストールされる主な原因は、他のフリーソフトとのバンドルです。
- 自動起動や自動更新、接続の切断といった現象は、故障やエラーではなく、全て設定でコントロールできる機能です。
- VPNが切れるとネットが遮断されるのは、情報漏洩を防ぐ「Network Lock」という重要な保護機能が働いている証拠です。
- 不要であれば、WindowsやmacOSの標準的な手順で簡単にアンインストールできます。
見慣れないソフトがPCに入っていると不安になるのは当然ですが、その正体と仕組みを正しく理解すれば、何も恐れることはありません。この記事が、あなたのPCに対する不安を解消し、より安全で快適なデジタルライフを送るための一助となれば幸いです。